少しずつ新型コロナウィルス感染症の影響が沈静化し始めた今、在宅勤務から出社勤務への移行が進む中で、従業員の健康状態に懸念を感じる企業も多いのではないでしょうか。

コロナ禍の鎮静化に伴い、人と接する機会が増えたことで、労働環境や対人関係にストレスを抱えるビジネスパーソンが増加しています。これまでの在宅勤務に慣れた生活から一転して出社勤務へ戻ることは、心身に大きな負担をもたらします。特に、通勤や対人関係のストレスが再び顕著になり、自律神経の乱れや体調不良を訴える従業員が増えています。

このような状況では、企業が従業員の心身の健康を守るための適切なストレス対策を講じることが不可欠です。具体的な対策として、定期的なストレスチェックやサーベイの実施、ストレス緩和のためのケアが求められます。

本記事では、コロナ禍以降に増加するストレスの原因を探り、企業がすべき具体的なストレス対策についてくわしく解説します。従業員の健康と生産性を維持するために、適切なケアとサポートの重要性を再確認しましょう。

■目次

1. コロナ禍以降のストレス増加の原因とは?

通勤時の満員電車

コロナ前は会社に出勤する働き方が通常でしたが、コロナの影響で長く在宅勤務や人とのつながりが少ない状況にあったため、通常の働き方に馴染めず心身の不調を感じる従業員が増加傾向にあります。

コロナ禍以降にストレスが増加してしまうのはどのような原因があるのでしょうか?詳しい原因とそれぞれの理由について解説します。

出社率の増加によるもの

コロナ禍以降に従業員が体調不良やストレスを感じやすいのは、出社率の増加が一因と考えられています。コロナ禍の影響で在宅勤務が日常化していたため、出社勤務への変化に心身がすぐに適応できず、心身の不調につながっています。

ストレスは心身のバランスをコントロールする自律神経を乱し、

・やる気や集中力を高める「交感神経」
・ストレスや緊張から心身を解放する「副交感神経」

のそれぞれのバランスが崩れ、やる気が出ない、休息したいのに不安や緊張から抜け出せないといった不調につながりやすくなるのです。

環境の変化によるもの

コロナ禍では在宅勤務や人と接する機会を避けることの意識が強かったため、出社勤務や人とのつながりが増えると、環境が大きく変化します。環境の変化は、知らず知らずのうちにプレッシャーや緊張を引き起こし、自律神経の乱れ、体調不良、メンタル面の不調につながりやすくなります。

さらに、環境の変化に心身が慣れるまでに時間がかかるため、ストレスや体調不良が長引き、業務の支障になったり適応障害の原因になることがあります。

対人不安によるもの

コロナ禍で人と接する機会が減ると、その人間関係が日常になり、コミュニケーションを取る機会も減っていきます。そのためコロナが明けて人間関係が少しずつ深まっていくと、これまでコミュニケーションを取っていなかった分、対人関係に対するストレスや不安を抱くケースが増えてきます。

会社に出社して働くスタイルは、上司や同僚といった人間関係が日常になるため、これまでのコミュニケーション不足が対人関係への不安を強くしてしまう傾向にあるのです。

通勤苦によるもの

コロナ禍での在宅勤務は、出社勤務に比べると自宅で働くスタイルとなるため自身のペースやバランスを調整しやすく、緊張やストレスが少ない環境と言えます。そのためコロナ明けの出社勤務は、長く在宅勤務が続いた日常からの急な環境の変化と言えます。

人は誰でも環境の変化に弱く、出社勤務に慣れるまでにはそれなりの時間がかかるため、通勤による苦痛が心身の不調に繋がることがあります。

2. 企業が行うべき従業員のストレス対策

従業員の食事管理

コロナ禍以降の在宅から出社勤務、人間関係の深まりなどの変化は、企業の健康経営担当者にとっても初めての経験です。そのため、どのようなストレスケアが必要なのか判断に迷うことがあるでしょう。

企業がすぐに行うべき従業員のストレスケアや自分自身の心身の健康にも役立つ対策は、

・定期的なストレスチェック
・緩和・軽減対策

の2つが特に重要で効果的と言えます。

ここでは従業員のストレス対策について、さらに詳しいポイントや注意点をお伝えします。

定期的なストレスチェック

ここでは、定期的なストレスチェックに関して、企業が行うことができる対策を取り上げます。

おかしな言動がないか観察をする

従業員の普段の行動や言動、仕事上のアウトプットのスピードを重点的に観察しておくと、これまでには見られなかった変化や不備、不調に気づきやすくなります。

例えば、遅刻や欠勤が増えた場合や、普段は見られないミスや過剰な反応が頻発する場合などは、ストレスや心身の不調が原因である可能性があります。また、業務に対する意欲が低下している、同僚とのコミュニケーションを避けるといった行動も注意が必要です。

定期的にチェックすることで、早期発見と対策が可能になります。

定期的にサーベイを実施する

定期的なサーベイの実施は、

・従業員の会社に対する満足度
・仕事や人間関係に対してのモチベーション

を具体的な数値で把握できるツールです。最近ではサーベイツール・サービスが充実しており、従業員の満足度・モチベーションを明確に把握することでストレス対策の方向性が定まりやすくなります。

ストレスチェックキットを使う

ストレスチェックキットは、導入や運用が手軽な反面、回答を意図的にコントロールできるため信憑性が低いデメリットがあるサーベイよりも、ストレスホルモン量を測定したストレスチェックが可能になります。痛みや感染症のリスクが少なく、日内でのストレスレベルの変動の影響を受けずに測定できるため、導入を進めている企業が増加しています。

参考:ストレスホルモン量検査キット(株式会社あすか製薬メディカル)

緩和軽減対策

アフターコロナの環境の変化や人間関係の構築における従業員のストレスには、

・運動・睡眠・食事のケア
・仕事の緊張や不安から心身を解放する気分転換
・産業医や専門医のカウンセリングの実施

という3つのポイントが重要です。

運動や睡眠、食事や気分転換の指導、さらに専門的なカウンセリングの導入は、従業員それぞれの心身の状態を左右する重要な要素でもあります。

質の良い睡眠

質の良い睡眠は忙しく過ごした1日の疲れやストレスを、十分な休息でリセットする役割があります。質の良い睡眠を毎回得ることができるよう、企業担当者は、睡眠ホルモンの生成に役立つ朝の適度な日光浴を従業員に推奨しましょう。

睡眠の質は、PCやスマートフォンの長時間使用でブルーライトの影響を受けて低下しやすくなります。スマートフォンやPCの使い過ぎでブルーライトの影響を受けると、興奮や覚醒を促す交感神経が刺激され、眠りの質が悪くなって業務にも支障をきたします。眠る前はブルーライトの影響を避け、リラックスした時間を過ごすよう指導しましょう。

またバスタブに浸かる入浴は、

・寝つき
・熟睡感
・起床時のすっきりとした目覚め

を助け、体温上昇と下降のバランスを整えると言われています。毎日を忙しく過ごしているとシャワーのみで済ませがちですが、この入浴では身体が深部まで温まらず、寝つきの悪さや熟睡を得られないといった不調につながります。常に良質な睡眠でストレスに強い心身をサポートするためにも、これらのポイントを重点的に指導しましょう。

栄養バランスの整った食事

企業が従業員のストレスケアに指導しておきたい食生活は、

・主食:ご飯や麺類、パンなど炭水化物を含む食べ物
・主菜:肉類、魚類、卵などタンパク質を含むおかずになる食べ物
・副菜:野菜、フルーツ、大豆製品、海藻、きのこなどの食べ物
・一汁:みそ汁、スープなど

をバランスよく組み合わせた食事内容が理想的です。

このバランスを整えつつ、ストレスを身体の内側からケアするために、

・大豆製品、乳製品に多く含まれる幸せホルモンの生成を助ける「トリプトファン」
・発酵食品、野菜、フルーツに豊富でストレス軽減・リラックス作用のある「GABA」
・魚類、乳製品に豊富で神経伝達物質や脳の興奮を抑える「カルシウム」
・野菜、フルーツ全般に多く含まれ、やる気ホルモンと呼ばれるアドレナリン分泌を助ける「ビタミンC」

の積極的な摂取を推奨しましょう。このようなバランスの良い食事内容や栄養成分の摂取は、身体の内側からアプローチするためストレスの緩和をはじめ、メンタル不調を根本的に予防する効果が期待できます。

イベントやカウンセリングの実施

企業考案のレクリエーションや従業員同士の食事・飲み会などの交流会、専門家を招いての積極的なカウンセリングケアは、従業員の健康とモチベーションを維持する有効な対策です。これにより、

・従業員同士の人間関係の充実、信頼関係の構築
・健康やメンタルケアへの意識の向上

といったより良い変化が期待できます。

3. まとめ

今回のコラムでは、コロナ禍以降に従業員が感じやすいストレスの原因と、企業がすぐに取り組むべき対策について解説しました。コロナが沈静化してからは、出社勤務の再開や新たな人間関係の構築などが求められ、従業員は緊張しやすく、新しい環境に慣れるのに時間がかかることが多くなっています。この変化により、従業員は心身の不調やストレスを感じやすくなるため、企業はこれを予防・軽減するための対策が必要です。

まず、定期的なストレスチェックを実施し、従業員の心身の状態を把握することが重要です。これにより、早期に問題を発見し、適切な対応を行うことが可能となります。また、運動や睡眠、食事のケアを通じて、従業員の生活習慣を改善し、ストレス耐性を高めることも効果的です。さらに、専門家によるカウンセリングの導入や、レクリエーションの実施など、心のケアを重視した対策も併せて行うことが求められます。

従業員の健康と業務へのモチベーションを維持するために、これらの対策を継続的に実施し、より良い労働環境の構築を目指しましょう。

弊社では、

・メンタルヘルス不調の予防、軽減を目的としたマインドフルネスレッスン
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